[レポート] A-5 B2B SaaSのプロダクトマネジメント大解剖 ~B2B vs B2Cでの違いとSaaSにおける進化~ – プロダクトマネージャーカンファレンス2022 #pmconf2022
2022年11月02日(水)、プロダクトマネジメントに携わる人たちが共に学び、切磋琢磨するイベント『プロダクトマネージャーカンファレンス2022』がオンライン形式で開催されました。
当エントリでは、ブレイクアウトセッション『B2B SaaSのプロダクトマネジメント大解剖 ~B2B vs B2Cでの違いとSaaSにおける進化~』の参加(視聴)レポートをお届けします。
目次
セッション概要
セッション概要は以下の通りです。
B2B SaaSのプロダクトマネジメント大解剖 ~B2B vs B2Cでの違いとSaaSにおける進化~
[登壇者]
・湊 雅之氏(ALL STAR SAAS FUND/Partner)
・宮田 善孝氏(freee株式会社 執行役員 VP of Product Management/ ALL STAR SAAS FUND PMアドバイザー/ 日本CPO協会 理事)
[セッション概要]
日本の産業のデジタル化の進展と共に、2025年には1.5兆円産業にまで拡大が予測されるB2B SaaS(Software as a Service)。本セッションでは、B2B SaaSならではのプロダクトマネジメントが、メディアやゲームに代表されるB2Cプロダクトとどう違うのか?、プロダクトや組織の成長ステージによってどのように進化していくか?をB2B SaaS特化VC ALL STAR SAAS FUNDパートナー湊とPMアドバイザー宮田が徹底解説します。
(※以上、公式サイトより引用)
セッションレポート
自己紹介
- 湊雅之氏
- ベンチャーキャピタリスト @ALL STAR SAAS FUND
- 過去6年間でアーリーステージのB2B/SaaSを中心に40社以上に投資と成長支援
- 宮田喜孝氏
- VPoP@freee、Advisor@ALL STAR SAAS FUND
- DeNA、SmartNews、freeeで10年程PMに従事
- 元々戦略コンサルをやっていた/米国公認会計士
B2B SaaSマーケット概要
- 世界的にもSaaS業界はホット、日本にもめちゃめちゃオポチュニティがある
- B2B SaaS(Software as a Service)とは?
- インターネットを経由して利用出来るクラウド上にある業務ソフトウェア
- 現代では誰もがSaaSを使って日々の仕事をしている
- 海外企業/国内企業問わず沢山ある
- 世界のスタートアップ業界でSaaSは中心的な役割を担っている
- 欧米スタートアップ投資の40%超がSaaS
- 2022年上期の投資セクターでSaaSは第2位
- コロナの影響もある
- 全体の投資額は増えている
- マーケットがクラッシュしている、成長より利益/投資家からしても魅力的に映っている
- 世界、特にアジアはまだまだSaaS(クラウド)が普及する余地が大きい
- IT投資額に占めるクラウド比率はまだまだ少ない(4.7%)
- 日本のSaaS市場は2020-2025年までの5年間で2倍の約1.5兆円規模
- 背景にあるトレンド
- 生産性向上への需要(人口減x低生産性)
- パンデミックによる働き方の変化
- モバイルネイティブ世代の中核化
- 世界から見ると日本にはSaaSの面白さとチャレンジがある
- 面白さ
- なんだかんだ言って世界第3位の経済大国である
- 莫大かつ成長するIT投資額
- 競争が激しくないので高利益が期待出来る
- SMB主体(99.7%)の経済x低チャーン
- チャレンジ
- ユーザー企業にテック人材が少ない
- 高齢社会でテックリテラシが低め
- SaaS企業も人材採用がボトルネック
- 上記内容から、B2CのPMは救世主になれるのでは?
B2C vs B2B
- [質問] B2CとB2Bの双方でそれぞれ3年以上PMをしたことがある方はいるか?
- B2CとB2BにおけるPMの違い(要点)
- 調査分析/企画/開発/リリースの流れに於いて。
- B2C:(開発以降、後半に於いて)一定のユーザーに対して早くABテストを展開し、瞬時にイテレーションする
- B2B:(企画以前、前半に於いて)正確にユーザーニーズを汲み取り、できるだけ事前にMVPの精度を上げ、最小限の開発に留める
- B2CとB2BにおけるPMの違い(詳細)
- B2Cはコンシューマ向け/プロダクト・アウト/ユーザビリティに重点を置く
- BCBはビジネス向け/マーケットイン/機能に重点を置く
- PMの出自はどうか?
- B2C:
- 日本でもECやポータルサイト等が勃興し始めた時期からPMという考え方が先に浸透
- B2Cの方がプロダクトを直接目にすることが多く、先にPMという役割が普及
- B2B:
- オンプレやSIerなどが独自進化したのが日本、PMという職種は長らく明確に無かった
- SaaSの台頭によりB2BにもPM職種が確立され始めている
- B2C:
- [Q].オンプレ/SIer出身の人が陥りがちな罠は?
- SIerでPMをしていた方は、クライアント側が正解を持っている(こういうのを作って欲しい)、要望を持っていることが多い。
- プロダクトマネージャはプロダクトを通じてビジョンを実現する人。正解無きものを具現化していく必要がある。
- SIerの場合はいきなり(回答の)ボールを渡される状態。SaaSの場合は「どういうプロダクトを作りたいか、Willを出してください」という状況から始まる。その部分には戸惑われる方が多いと思う。
- B2CからB2Bへのキャリアチェンジ(by 宮田氏)
- B2Cは比較的早くに「覇者」が決まってしまった感があったと思っている。マーケティングコストと開発力が無いと中々参入しにくい
- B2Cのオポチュニティも段々少なくなってきているのでは、そこからB2B側も検討し始めた
- 実際B2B領域を見ていくと言語やカルチャーの壁もあり、GAFA等が入ってきにくい状況ではあった
- freeeには様々なドメインやフェーズのプロダクトが10を超えており、それを支えるPMも20人程度居た。メンバー構成も多様性に富んでいると感じた
- B2CとB2Bのトレンド:融合
- B2Bマーケット拡大に伴って対応デバイスの幅も広がり、B2CでのアプリUI/UXがB2B領域でも活用されるように
- PLGのGrowth推進についてもB2Cで蓄積された分析スキルが導入されるように
- B2Bで成果を出すPMの多様性が(B2C領域との融合で)更にバリエーション豊かに。そこをどうチームとして分担し成果を出せる状況にしちえくか。設計が重要
- VC目線でのB2CとB2Bのトレンド
- 実はB2CとB2Bのトレンドは地続き。B2CのトレンドにB2Bが影響される構図になっている
アーリー vs グロース:PMはどう進化するのか?
- ステージによって会社の状況はどう違うのか?
- アーリーステージ
- [MVV]:ミッション、ビジョン、バリューが発展途上
- [個人の役割]:ジェネラリスト中心(組織が細分化してない)
- [レポートライン]:経営陣への直接レポートが多い
- [プロダクト数]:シングルプロダクト(PMF前のものも多数)
- グロースステージ
- [MVV]:ミッション、ビジョン、バリューは成熟
- [個人の役割]:スペシャリスト中心(組織が細分化している)
- [レポートライン]:部門長やマネージャーへのレポートが多い
- [プロダクト数]:マルチプロダクト
B2B SaaSのステージによるプロダクトマネジメントの4つの進化
- 1.PMのスタンス
- アーリーステージは「突破力のある何でも屋」/ジェネラリスト
- グロースステージは「着実に成果を積み上げられる調整屋」/スペシャリスト
- 2.プロダクトビジョン
- アーリーステージは「単一のプロダクトビジョン」
- グロースステージは「統合されたプロダクトビジョン」
- 3.取り扱うデータ
- アーリーステージは「ほぼ定性データのみ」
- グロースステージは「定性・定量データ両方」
- 4.重視するポイント
- アーリーステージは「スピードと学び重視」
- グロースステージは「インパクトと質重視」
最後に:SaaS業界でPMを目指される方へ
- 日本のB2B SaaSは世界的にも面白いポジション
- B2C→B2B SaaSのPMに転向する場合、企画までの段階が重要
- PLG・モバイルに対応するB2B PMの素養がSaaSでも必要
- ステージによってはSaaS PMは違う生き物
- SaaSのPMキャリアは今後更に市場価値が上がる
まとめ
という訳で、プロダクトマネージャーカンファレンス2022のセッション『B2B SaaSのプロダクトマネジメント大解剖 ~B2B vs B2Cでの違いとSaaSにおける進化~』の視聴レポートでした。